独断と偏見の歯科医療ブッタ斬り ★上手な歯医者の選び方★
☆創刊第1号☆
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■今回のテーマ■
『頑張って磨いてください!』の罠
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こんにちは、歯科医師のwizと申します。
私は現在、大手企業での検診医を主な仕事にしています。
この仕事をしていると、多いときは1日に200人近い方の口腔内を見る機会があります。
これは、歯科医院で治療だけしていたときには、考えられない経験(人数)です。
そして、これだけの人数を見ることではじめて、今までに気づかなかったこと、見えていなかったものに気づくようになりました。
今回のテーマの中身である「ブラッシング指導の質」もそのひとつです。
最近、ブラッシング指導を受けたことが原因で、逆にその弊害を起しているケースを目にすることが多くなってきました。
それも言われたとおり、まじめに取り組むかたに多いようです。
あなたの通っている歯科医院の、ブラッシング指導の質はいかがでしょうか??
いつ行っても、誰に対しても、同じことをくり返すだけのワンパターンのブラッシング指導ではありませんか??
数年前までは、良い歯医者の条件に「ブラッシング指導をしてくれる」が入っていましたが、今では「するか、しないか」より、「その質」が問われているようです。
本来、ブラッシング指導というのは『患者さんに合った磨き方を、その患者さんと一緒に探してゆく。』というスタンスで行われるものです。
なぜなら、口の中の状態(歯並び)はその人、その人によって皆違うからです。
従って、2ー3回で終わるものではありませんし、決まりきったやり方を、一方的に伝えて終わらせるものでもありません。
特に、「頑張って磨いてください。」「一生懸命に磨いてください。」という言葉を安易にくり返すことが、害を大きくしているようです。
この言葉を聞くと、私たちはつい『力』を入れてしまいます。
歯肉(歯ぐき)というのは、皆さんが思っている以上にデリケートな組織です。
それに比べて、歯のエナメル質というのは、人体で一番硬い組織(水晶と同じ硬さ)です。
そして口の中は、この2つが密接して存在しているという、とても特殊な環境にあります。
そこを、頑張って一生懸命に(力を入れて)磨くと、歯はきれいになるかもしれませんが、歯ぐきは痛んでドンドン退縮して(痩せて)いき、歯の根っこが露出してきます。
検診をしていても、1年前の記録では健康な歯ぐきだったのに、今回はほとんどの歯で3ー5ミリも歯ぐきの退縮をおこしている方がいます。
聞いてみると、ブラッシング指導を受けてから磨き方を変え、頑張って磨いているということです。
本人は、とてもまじめに取り組んでいるのです。
それが「自己破壊的行為」だと気づかずに・・・。
20代前半で、こういう状態に陥っている方もいます。
人生がまだ60年もあるというのにです。
こういうケースを見ると、とても痛々しく感じると同時に、なんだかやりきれない気持ちになります。
適切なブラッシング指導さえ受けていれば、このような状態を招くことはなかったでしょう。
最初にボタンさえ掛け違わなければ・・・。
[歯科においてこのような「ボタンの掛け違い」はよく目にします。子どものころ、痛い、怖い思いをして歯医者嫌いになったなんていうのは、その典型でしょう。]
退縮した(痩せた)歯ぐきは、もう元にはもどりません。
(外科的に歯ぐきを移植することは可能ですが。)
逆にうまく磨けなくて、少し炎症を起こしている程度の歯ぐきであれば、適切なブラッシングをすることで、健康な歯ぐきに戻すことができるのです。
まじめに取り組んだことが仇になるなんて、患者さんにとっては、たまったものではありません。
歯科医師や歯科衛生士は、その言葉の使い方ひとつで、患者さんを幸せにも、不幸にもできるような気がします。
歯科医師の言葉の使い方については、今後も「ドクターハラスメント」や「動機付けの仕方」等のテーマで取り上げていこうと思っています。
さて、あなたの通っている歯科医院のブラッシング指導の『質』は
いかがでしょうか??
追伸
時々、「歯ぐきを歯ブラシでマッサージする」なんていう、非常識なことを教えている歯医者がいるようです。
歯ぐきは鍛えるものではありません。
やさしく、大切に扱うべきものです。
どうしてもと言うのなら、指でやさしくマッサージしてください。
これは顎(あご)の関節についても言えることです。
顎を鍛えるためと言って、無理してとても堅いものを食べる方がいます。
これでは、「顎関節症」の原因になってしまいます。
顎関節も歯ぐきと同じ「消耗品」と考えていただきたいのです。
(成長期に軟らかい物ばかりを食べていると、顎の発育が悪くなると言いますが、これはまた別の問題で、顎関節のことではありません。)
基本は、『丁寧に、やさしく、大切に』です。

